国境を越えるテレビ (№1)
1990年代には衛星放送の国境を越える電波「スピルオーバー」問題も自然消滅し
世界中が外国のテレビを見ることができる環境が整いました。
1989年にはヨーロッパで国境を越えるテレビを自由化するEC指令が出されます。
アジアでは1991年に全アジア向けに香港の「スターTV」が放送を開始しました。
これは西はイスラエル・中近東から、東は太平洋上の日付変更線あたりまで、
北はモンゴル・ロシア南部から、南はオーストラリア北部まで世界40カ国40億人が
24時間見ることができる世界最大の衛星放送です。チャンネル数は数百チャンネル。
日本のNHKはこのスターTV(アジアサット)の532チャンネルにて「NHK World」を
24時間放送しております。使用言語はすべて英語。内容はNHKが国内で放送した
英語版が多く、大学では語学学習用に設置するところが増えています。
日本では1994年に放送法が改正されNHKにテレビの国際放送が認められます。
NHKはさっそく1995年からこの誰でも見られる「NHKワールドTV」を開始します。
ヨーロッパのホットバード放送衛星(HotBirdー6)、アメリカのパンアムサット放送衛星
(PASー8,9,10)、エコースター放送衛星(Echoー3,7,9)の8基の放送衛星では英語と
日本語でも放送しています。
1999年からは北極と南極以外では全世界でNHKを見ることができるようになりました。
今では通信・放送衛星数は3000を越え、赤道上空36000kmは大混雑しています。
インドネシアでは放送後進国であったのが幸いして、たった1個の放送衛星を
打ち上げることによって7000を越える島々に点在している2億4千万の国民に
多チャンネルテレビの視聴を誰もが公平に見られることを可能にしました。
放送先進国の日本ではNHKが北海道から沖縄まで山奥の山間地や過疎地にまで
送信タワー・中継局を建設せざるを得なかったため莫大な費用がかかりました。
それでもまだテレビの映りにくい地域が残されています。
しかし衛星放送時代になって立場は逆転。過疎地には大きなパラボラを余裕をもって
複数個上げれる時代になりました。さらにインターネットのダウンは衛星から、
アップは電話回線からと使い分けの時代になっていますので超々高速通信も
外国ではすでに試験的に行われております。
今はチューナーとパラボラさえあれば世界中どこにいても数千チャンネルもの
外国の衛星放送が受信可能なため世界中どこもパラボラだらけになっています。
ポータブルセットなるものも登場していて価格は高いですが雨傘・日傘を広げる感覚で
チューナーも携帯電話並みの小ささ。ハンドバッグにはいってしまいます。
大きな事故や事件があれば大きなパラボラアンテナを付けた中継車が現場へ
急行しますがこれはSNG(サテライト・ニュース・ギャザリング)でCS放送衛星の
チャンネルを使用していることが多くノースクランブルのため盗聴可能です。
外国では衛星インターネットもやっていますがこれはアップの送信設備を整えた
プロバイダーが相手で個人受信ではダウンだけの一方通行になってしまいます。
中国が毎日のようにワルサをしているのでもっぱら一般通信回線とオン・オフのできる
暗号使用の政府用と軍事用です。
肝心の衛星のコントロールシステムは通常のシステムと同じ貧弱なものですから
最悪の場合、衛星乗っ取りをされコントロールを奪われる危険性もあります。
システムエンジニアの本当の腕前が試される時代が到来したようです。
対外不正アクセスをされたようなフリをして相手にハチャメチャな情報をつかませる
という手法はアメリカが得意とする分野です。つまり「ニセ情報」といういかにも
本物らしい「おみやげ」を用意するというしたたかさです。
「スパイ大作戦」を見ているような気がしてきます。
マスコミの報道をそのまま信用するのは賢明とは言えません。
日本の衛星放送の歴史は古くすでに40年が経過しています。
赤道上空36000kmに打ち上げられている通信衛星や放送衛星、気象衛星の数は
100を越え、世界中ではついに3000個を越えてしまいました。満杯です。
(1)東経110度・・・・・BSAT-1a、BSAT-1b、BSAT-2a、BSAT-2c、BSAT-3a、BS-3N、
(1)東経110度・・・・・N-SAT-110(東経110度の衛星はすべてBS放送用です。)
最近BSのチャンネル数が増えたのはチャンネルの異なる衛星が加わったからです。
(2)東経124度・・・・・JCSAT-4A(CSデジタル放送用)
(3)東経126度・・・・・MBSAT(デジタル音声放送用・簡易動画付き)
(4)東経128度・・・・・JCSAT-3、JCSAT-3A(CSデジタル放送用)
(5)東経132度・・・・・N-STAR-a、JCSAT-5A、N-STAR-d(国内通信衛星)
(6)東経136度・・・・・N-STAR-b、N-STAR-c(国内通信衛星)
(7)東経140度・・・・・MTSAT-1R、MTSAT-2(航空管制・気象衛星ひまわり)
(8)東経144度・・・・・Superbird-C、MBSAT(アジア太平洋通信・モバイル放送用)
(9)東経150度・・・・・JCSAT-1B、JCSAT-R(国内通信衛星・予備機)
(10)東経154度・・・・JCSAT-2A(国内通信衛星・PCM放送)
(11)東経158度・・・・Superbird-A1、Superbird-A2(国内・極東オセアニア通信)
(12)東経162度・・・・Superbird-B2(極東オセアニア通信)
(13)東経166度・・・・PAS-8(CSデジタル放送)これはアメリカのインテルサットのことかも
(14)東経90.75度・・・DRTS(低軌道衛星とのデータ通信・こだま)
(15)西経127度・・・・Horizons-1(北米ハワイ向け通信衛星)
(16)西経74度・・・・・Horizons-2(北米ハワイ向け通信衛星)
まだまだたくさんありますが代表的なのは以上です。
衛星の寿命は短いので絶えず更新されております。
今後はインターネット専用衛星が爆発的に増える見込みです。
送信設備を持たないプロバイダーは生き残れないかもしれません。
電波干渉を防ぐため左右に4度離すルールになっていますが帯域の狭い音声だけの
放送なら2度でも可能です。同じ位置にたくさんあるときは上下前後にズラすなり、
電波を止めるか弱めたりして工夫をしています。
このルールは最近かなり崩れているようです。
国境を越えるテレビ (その3)
1970年代から開始された衛星放送はアナログからデジタルに移行しましたが
周波数は、Kuバンド(10~12GHz帯)とCバンド(4~5GHz帯)がそのままです。
気象衛星ひまわり(1.7GHz)から1時間おきに送られてくる映像をパソコンで表示
できるプリアンプも市販されていたのでマニア向け流行のようになっていました。
目的の衛星に対してパラボラに取り付けるフィードフォンやLNBも数多く市販され
垂直偏波や水平偏波は自動切替、BSは独特の円を描くスパイラル偏波です。
むしろ問題は衛星の方で、アメリカのインテルサットは静止軌道上で8の字を描く
不安定さ、日本のスーパーバードは長期間の不具合でスクランブルをはずし、
スターチャンネルやCNNなどの人気番組を無料開放しています。
この時代は日本が世界で一番活気のある国でしたのでインテルサットのCMは
TOYOTA、NISSAN、HONDA、SONY、PANASONIC、など半分以上は日本のメーカー。
今日ではそのようなこともほとんどなくなり怖いのは強力な太陽フレア位でしょうか。
これが発生すればGPSをはじめ通信・放送・気象衛星すべての衛星がダウン。
地上の送電網も破壊され最低でも2ヶ月間は電気のない生活を余儀なくされます。
上下水道も交通機関も停止し水や食料品も入手困難な原始生活になりかねません。
「こんなはずではなかった」ことが次々と連鎖反応的に襲いかかってきます。
衛星に多くを頼ると大きなリスクを背負うことも覚悟しなければなりません。
今、日本で比較的簡単に受信できる海外の衛星放送を調べてみました。
毎年のようにどこかの国が衛星を打ち上げているため実際の数は2倍はあるでしょう。
(1)東経75度・・・・・・・ABS1(ロシア)
(2)東経80度・・・・・・・ExpressAM2(ロシア)
(3)東経90度・・・・・・・Yamal(ロシア)
(4)東経100.5度・・・・・AsiaSat2、AsiaSat5(香港)8カ国語、SNG
(5)東経105.5度・・・・・AsiaSat3S(香港)米、独、露、仏、サウジの局も中継
Cバンドで28、Kuバンドで16のトランスポンダーを搭載。日本での電界強度は41dBW。
寿命は15年なので(1997~2012)今はAsiaSat5Sに代わっています。
(6)東経108.2度・・・・・Gsat(フィリピン)20ch、ポケモンも放送されています
(7)東経113度・・・・・・KoreaSat2、KoreaSat5(韓国)
(8)東経115.5度・・・・・ChinaSat6B(台湾)
(9)東経122度・・・・・・AsiaSat4(香港)
(10)東経138度・・・・・DimsumTV(アメリカ)
(11)東経140度・・・・・ExpressAM3(ロシア)
(12)東経146度・・・・・Agila2(フィリピン)
(13)東経166度・・・・・intelSat(アメリカ)SNG、米4大ネットワーク接続、フジテレビの
ニューヨーク回線として有名。
アメリカABCの看板番組「GoodMorning・アメリカ」を見ることができます。
(アジアの衛星には娯楽番組が多くアダルト向けも少なからずあります)
ほとんどがNTFS方式ですが、たまにPAL方式もあります。
世界の人工衛星
現在(西暦2010年)、地球を周回している人工衛星は1.5万個以上にも
なります。軍事衛星の多くは含まれていませんので実数はそれ以上に
なるでしょう。
その形態は様々で他国から購入して自国仕上げにしたものや、
他国のロケットで打ち上げたもの、すべて他国まかせなどのいろいろな
パターンがあります。上位4国の人工衛星は半分以上が機能して
いないのでスペース・デブリになっています。
いずれは地上に落下してきますので大型のものはその破片が
地上の居住区域に達する可能性があるかもしれません。
1位:CIS諸国(ロシア、カザフスタンなど)・・・5559個
2位:アメリカ・・・・・4898個
3位:中国・・・・・・・3161個
4位:フランス・・・・300個
5位:日本・・・・・・・199個
6位:インド・・・・・・172個
7位:国際機関・・・115個
8位:ヨーロッパ共同・・・・・90個
9位:中国・ブラジル・・・・・76個
10位:ドイツ・・・・・・38個
11位:カナダ・・・・・32個
12位:イギリス・・・28個
13位:イタリア・・・18個
14位:ルクセンブルク・・・・16個
15位:オーストラリア・・・・14個
16位:ブラジル・・・・・・・・13個
17位:サウジアラビア・・・12個
18位:スペイン・・・・・・・・11個
18位:スウェーデン・・・・11個
18位:韓国・・・・・・・・・・・11個
21位:アルゼンチン・・・・10個
21位:インドネシア・・・・・10個
23位:イスラエル・・・・・・・9個
23位:アラブ諸国・・・・・・・9個
25位:台湾・・・・・・・・・・・・8個
25位:NATO・・・・・・・・・・・8個
27位:メキシコ・・・・・・・・・7個
27位:オランダ・・・・・・・・・7個
27位:タイ・・・・・・・・・・・・・7個
30位:マレーシア・・・・・・・6個
30位:トルコ・・・・・・・・・・・6個
32位:旧チェキスロバキア・・・・・5個
33位:デンマーク・・・・・・・4個
33位:ノルウェー・・・・・・・4個
33位:アラブ首長国連邦・・・・・・4個
36位:エジプト・・・・・・・・・3個
あとは2個が4カ国、1個が15カ国になっています。
世界の国の約半数が人工衛星を打ち上げていることになります。
万の数の人工衛星が今現在地球を周回していますが、
機能していない死んだ衛星の数も1万個以上もあり、
他の人工衛星の邪魔にならないよう数百km離れた軌道まで
移動させるのが決まりになっています。
2008年の5月に、防衛目的の宇宙利用を解禁した宇宙基本法が
成立してからは急増し、日本でも宇宙基本法によって、
弾道ミサイルの発射を探知する早期警戒衛星の使用ができるように
なりました。
新発見も相次ぎ、2009年9月24日にはインドの月周回探査機
チャンドラヤーン1号が月面の岩石に含まれている水の分子の
検出に成功しています。
世界中の衛星の種類は大きく分けて、通信・放送衛星が29パーセント、
技術開発衛星が25パーセントと、この2種類で全衛星の半分以上を
占めています。

