重力波
電荷が振動すると電磁波が発生します。
質量が振動すると重力波が発生します。
半世紀前の1969年にウェーバーが天体からの重力波を検出
できたと発表しましたがこれは多くの物理学者が否定しました。
誰がやっても再現されなかったためです。
重力波は電磁波と同じ横波で光速で伝播します。
電磁波の場合はプラスの電荷とマイナスの電荷が対になって
相対的に振動すると発生します。
しかし直線上にある2つの質量が振動しても重力波は発生
しません。
直線上もしくは球対称でない場合、物質分布が振動すると
重力波が発生します。
それでは、アインシュタインの一般相対性理論を計算して
重力波発生装置をつくってみましょう。
4畳半1間でも子供の勉強部屋でもOKです。
長さが2メートルの棒を用意します。
棒の両端に1kgの重りを取り付けます。
棒の中心を軸として回転させます。
これで重力波が発生します。計算が面倒なので棒の質量や
重りの体積を無視して算出すると、毎秒100回の回転速度なら
4.3X10の-35ワットの重力波が発生します。
周波数は200ヘルツになっているはずです。
10の-35乗といえばほとんどプランク定数の世界です。
アインシュタインが正しければ重力波が発生しているはず
ですが検出装置がないのでこれを証明することができません。
それでは今度はもっと大きなもので重力波を算出してみます。
大宇宙に目を向けると、とんでもない大きなものがあります。
カニ星雲の中心にあるパルサーとその連星を長い棒の
両端に吊して回転させるのと同じ理屈で計算してみると、
パルサーは超新星爆発の残骸ですから、太陽と同じ
1989じょトン、回転半径を50km、と仮定します。
重力波のパワーは、質量の2乗、回転半径の4乗、回転数の
6乗に比例します。カニ星雲パルサーは30ヘルツで回転して
いますので、10の40乗ワットの重力波が得られます。
これは天体観測による数値と一致します。
パルサーの回転周期は次第に減少していくので減少分が
重力波として放出されています。
ミクロとマクロの重力波のパワーの差は10の75乗にもなります。
これなら地球上でも十分に検出できそうです。
しかしウェーバーの挑戦から43年も経過しているのに進展は
ありません。
挑戦している人たちは狂人ではあっても研究熱心なので
よほど効率の悪い手法で挑戦しているのかもしれません。
従来からの手法にこだわり続けているからでしょう。
重力波の検出には、共鳴タイプ、干渉計タイプ、ドップラー
効果タイプなど多くの手法があります。
重力波は時空のひずみを生じさせます。時間のひずみは
速度に起因するものは解明されていてGPSや人工衛星など
高速飛行物体には応用されています。
空間のひずみが検出できれば重力波の到来を示す証拠に
なります。
43年も前にウェーバーがチャレンジしたのは共鳴型で、
アンテナと呼ばれているアルミニウム合金の円筒形をした
チューブを中央で吊し両端の加速度を検出するものです。
アンテナは大きければ大きいほど重力波を検出できる
可能性も大きくなりますが、音響雑音の影響を受けないよう
真空容器内に格納しなければなりません。
さらに熱雑音を抑えるために極低温に冷却する必要も
あります。アンテナ自身の固有振動数を低くするために
アンテナも大きなものになります。
長さが3m、直径が90cmだと、重さは5トンにもなります。
固有振動数はかなり高くて840ヘルツにもなります。
もっと大きくすれば吊す針金も太くなりエネルギー損失も
大きくなります。効率の悪い方法といえるでしょう。
4畳半1間で2mの棒を使って重力波を発生させたように
ならばこの発信器を検出器にしてしまえという手段もあります。
2個の重量物を1本の棒でつなぎ電車の車輪のようにします。
かなり大きな車輪を使用しますからそれなりの施設が必要に
なってきます。この場合は棒がアンテナの役割をしますので
棒のねじれ振動を利用するねじれ型アンテナになり、
500ヘルツより低い低周波帯域の重力波検出になります。
しかしながらいくら大きなアンテナをつくってもこれらから
重力波を検出する検出器がお粗末では意味がありません。
アンテナの振動変位を検出するにはできるだけ高感度の
キャパシタンスセンサーを使用します。
このように非常にシンプルでわかりやすい共鳴方法ですが
大きなアンテナが重力波を受けなくても振動していれば、
それが雑音になりますし、雑音の振幅が重力波よりも大きい
ものであれば重力波は検出が不可能になります。
何トンもの重さのある大きなアルミニウム合金のアンテナも
ミクロに見れば無数のアルミニウム原子がピコメートルの
単位の振幅でランダムに熱運動をしています。
これをすべての原子について平均したものがアンテナの
熱振動=ブラウン運動としてあらわれます。
原子の振動スペクトルは広範囲にわたっていますが、
アンテナの固有振動数付近の成分によってアンテナが
励起されますのでブラウン運動のスペクトルは固有振動数に
ピークをもった形になります。
ただしアンテナにはいろいろな振動モードがあるので、
内部摩擦が少なくて、ブラウン運動のスペクトルも狭い
5056という合金が選ばれ、これを液体ヘリウムで冷却して
重力波検出に使用されます。
共鳴法による重力波検出は比較的コンパクトで場所の
制約を受けにくいので本命視されています。
干渉計法は遠く離れた2点間に、重力波が入射したときの
わずかな変化を光波干渉計によって検出しようとするもので
光源の波長の安定度が要求され、重力波の信号が、
検出器の波長変動による雑音成分の中に埋もれてしまえば
検出が不可能になります。
2点間の干渉距離を長くすればするほど感度は上がりますが
光路のゆらぎを抑え、気体分子の不規則な干渉計の鏡への
衝突によるブラウン運動を抑えるため、干渉計部分は真空に
する必要があります。さらに地面の震動の影響を除くために
防震対策も必要になってきます。
2点間の距離といってもハンパではありません。
重力波検出のためには最低でも4kmは必要になります。
ドップラー効果法は銀河系中心にある巨大ブラックホールを
ターゲットにします。太陽質量の十億倍クラスの大物中の
大物なので重力波もかなり派手に放出しているでしょう。
射手座の方向には銀河中心部分があるので常時重力波は
押し寄せてきていると思われます。
太陽質量の数十倍以上の恒星が超新星爆発をしたときも
重力崩壊によって超低周波の重力波が放出されますから
宇宙は重力波で満たされているかもしれません。
ならばこの方法がもっとも手っ取り早いでしょう。
そこで宇宙空間にスペースクラフトを打ち上げて、それを
電磁波で追尾し、その際に観測されるドップラー効果を
解析すれば重力波が検出されるかもしれません。
これはアメリカがすでにおこなっていますが検出には
至っておりません。

